積読山脈縦走記

文庫と新書で世界は廻る

2025-01-01から1ヶ月間の記事一覧

第003座 カフカ断片集

カフカの文章独特の謎めいた味わいは、ほかの作家ではぜったいに味わえない甘露なので、味わいたければ彼のテクストを何度も繰り返したどるしかない。だが、彼が生前遺したテクストは限られていて、その量はかき集めてみても微々たるものである。このように…

第002座 世界のふしぎな色の名前

小学生のころ、絵の具の色ではじめて聞き覚えた色の名前がビリジアンだった。これはわたしと同世代でなくてもきっと共感してもらえると思う。絵の具の色の名前にはもうひとつ、セルリアンブルーというのもあったけれど、こちらはまだ「ブルー」と言っている…

第001座 きのこの自然誌

今年の正月は、年の瀬にどこかで貰ってきた風邪が尾を引いていて、文字どおり寝正月になりそうだ。とにかく咳がひどく、なかなか抜けない。英語では頑固な咳のことを「persistent cough」というけれど、このpersistentの語感はまさにいつまでもしつこく抜け…